まず遺言とは、人がした意思表示の効力をその人の死後に生じさせる法律行為をいいます。遺言は、一定の方式に従って行います。普通方式と特別方式があり(民法967条)、普通方式によるのが原則です。
普通方式の遺言には、自筆証書遺言(民法968条1項)、公正証書遺言(民法969条柱書)、秘密証書遺言(民法970条)の3つがあります。
■自筆証書遺言
自筆証書によって遺言をする場合には、全文、日付の自書、氏名の自署、押印をしなければならなりません。全文の自書が要求されるのは、筆跡によって本人が書いたものであることを判定でき、それ自体で遺言が遺言者の真意に出たものであることを保障することができるからです。
改正前民法において、遺言書の全文を自書する必要があるため、財産目録も全文自書しなければなりませんでした。そのため、パソコンで目録を作成することや、通帳のコピーを添付することなどはできません。したがって、全文の自書は相当な負担がかかっていました。
そこで、改正民法では、自筆証書と一体のものとして添付された相続財産の目録については、必ずしも自書する必要がなくなりました(民法968条2項前段)。よって、パソコンで目録を作成することや、通帳のコピーを添付することも可能となりました。また、財産目録にはすべてのページごとに署名押印をしなければならない(民法968条2項後段)ため、遺言書の偽造も防止できます。
以上のように、改正によって自筆証書遺言の方式が緩和されました。
■公正証書遺言
公正証書遺言とは、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記するなど、公証人関与のもと作成される遺言書をいいます。法律の専門家が関与するため、方式不備のおそれが少なく、遺言の効力をめぐる紛争も生じにくくなります。
公正証書遺言をする際には、本人確認資料や戸籍謄本、遺言の内容によって各種証明書等が必要書類となっています。書類の内容に関しご不明点がある場合は、公正役場までお問い合わせください。
■秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言の存在を明らかにしつつその内容を他人に秘密にすることができる遺言です。その要件は、遺言者が遺言を作成した後にその遺言書を封じ、遺言者・公証人・証人の署名・押印をすることなどがあげられます。
公正証書遺言と同様方式不備のおそれが少ない他、他人に内容を秘密にできる点がメリットです。
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